[十番歌] これやこの 行くも帰るも、、


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[十番歌] これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも あふ坂の関

蝉丸

盲目で琵琶の名手であったと言われている隠者 蝉丸のこの歌は、逢坂の関所で、街道の人々の往来、ひいては、現生における人生の「会者定離(えしゃじょうり)」を詠んでいると、ねずさんは言います。

現代語訳は、

「ここがあの、今日から出ていく人も都に帰る人も、知っている人も知らない人も、分かれてはまた出会うことを繰り返すといわれる、逢坂の関なのですね」

です。

蝉丸は盲目ですが、彼の眼には、一人一人の出会いと別れ、生きることの悲哀と喜楽が、逢坂の関で交差し、すれ違う、そんな往来する人々の「会者定離(えしゃじょうり)」が映っていたのでしょう。

出会いと別れの無常を心眼で見据えながら、天皇の御代によって、誰もが人として大切に扱われる社会の喜びを歌い上げた名歌だそうです。
(参考:『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』)