千島極北占守島を開拓に立ち上がったのは 郡司成忠という軍人さん


北方領土が二島返還か四島返還か、とニュースがにぎわっていますね。

ニュースで見る北方領土は、国後島が北海道の湾の中にある、本当に目と鼻の先。

択捉島はその北。3139平方キロメートル。

沖縄本島が1217平方キロメートルなので、大雑把にいうと、沖縄本島の2倍ちょっとの大きさ。

こんな大きな島が、昭和20年8月28日にソ連軍に武力侵攻されて奪われたんだなぁ、、

と、なんともやりきれない思いがします。

だけど、ちょっと待って!

そもそも日本って、どこまでだったんだろう。。

そんな風に思ったこと、ないですか?

下の地図を見てください。

この地図は、『「戦後」からの挑戦』(末次一郎著)に載っていたのですが、

択捉島よりもずっとずっと北方、カムチャッカ半島とのギリギリの場所に占守島があります。

この島は、「占守島の戦い」で有名な島です。

8月15日の敗戦の詔を受け武装解除した後に、ソ連軍が攻めてきた。

島民、そして我が国土を守るため戦い、ソ連軍を蹴散らした戦場です。

その後、武装解除したわが軍の兵士たちはシベリアに連行され、

多くの軍人さんたちが過酷な自然環境の中で過酷な労働を強いられ、亡くなりました。

戦えば勝てるのに、武器を置いたんです。

そして、過酷な運命に身をゆだねた。

シベリア抑留で亡くなった人は、身ぐるみはがされて裸のまま放り投げられたという話には、言葉もなく、手を合わせるしかありません。埋葬するという観念がなかったそうなんですね。

私たちの文化では考えられないことだけど、そうだったんですって。

日本の地図を、もっと広く眺めてみると、位置関係がよりイメージできますよね。

下の地図は、私たちが普段目にする地図とはちょっと違って、大陸が下にあります。

北方領土と言われている国後、択捉の、まだまだ先まで、ずうっと千島列島があります。

ここも、日本の領土だったのです。

地図にはせめて、北は占守島まで描いてほしいと思いますよね。

この占守島という島は、めちゃめちゃ寒い極寒の地。

だけど、素晴らしい漁場だったんですって。

千島列島は、

安政元年(1855年)の「日露通交条約」でロシア領になっていましたが、

明治8年(1875年)の「樺太千島交換条約」により日本領となりました。

日本領とはなったものの、北千島は未開拓のままだったんですって。

その開拓に乗り出したのが、民間人 郡司成忠。

郡司成忠は、幸田露伴の実のお兄さんで、海軍大学を卒業したエリート軍人でした。

郡司成忠は、明治25年海軍当局に千島移住趣意書を提出したけど許可されなかったので、退役して予備役になり、民間人として千島開拓を目指したそうです。32歳の志です。

移住趣意書には

「千島極北占守島に移住し、その地の帝国版図たるの身を挙げんことを望む」

とあるそうです。

北の守りを買って出たということですよね。

すごい!

占守島は日本人にはあまりに寒く、開拓は困難を極めたそうです。

そして日清戦争、日露戦争の間もここを守りました。

明治41年(1908年)には、郡司成忠と共にこの地を守っていた別所佐吉という人が家族と共に島を守り、その後40年間占守島に留まって、郡司成忠の志を繋ぎとおしたのですって。

「別所翁の碑」というのがあるそうなのですが、

その碑文は、郡司成忠の兄 幸田露伴が書いたそうです。

別所佐吉翁は伊勢の人、初め陸軍に属す。

次に報効義会会員となるや、能くその北陲(ほくすい/北辺)の守りを固くし、

産を興すの義を体し、

艱難数々至ると雖も操守堅貞(そうしゅけんてい)、終始渝(か)わらず、

絶海、窮北に在る四十余年、老齢七十三、今猶初志を捨てず、嗚呼偉なる哉

伊勢の人が、極寒の地で防人をしてくれていたんだなぁ、、と

ありがたく、、

この碑の写真が下記の本にあるのですが、すぐ後ろに大海原があるので、

占守島にあったのかなぁ、、

今はどうなっているんだろう、、と。

彼らの努力の甲斐もあって

明治40年から、日ロ漁業協約に基づいた北洋漁業が始まり、タラ、カニ、サケ、マスなどが水揚げされるようになったのだそうです。この漁業会社が”あけぼの印”の日魯漁業(現マルハニチロ)なんですって。

私たちが当たり前のように食しているおいしい魚、

それだって、占守島を開拓してくれた郡司さんや別所さんたちのおかげ、

命をかけて国土を守ってくれた多くの軍人さんやみなさんのおかげ。

長い歴史の中で、多くの先人たちが頑張ってくれたおかげなんですよね。

国を守り続けるということが、どれほど大変なことなのか、

多くの先人たちの生き様に想いを馳せ、

感謝の気持ちで日々を暮らしたいですね。

参考)

『知られざるシベリア抑留の悲劇』(長勢了治著)

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