一燈照隅 萬燈遍照 (安岡正篤)
内外の状況を深思しよう。
このままで往けば、日本は自滅する外は無い。
我々はこれをどうすることも出来ないか。
我々が何とかする外無いのである。
我々は日本を易(か)えることが出来る。
暗黒を嘆くより一燈を点(つ)けよう。
我々は先ず我々の周囲の暗(やみ)を照らす一燈になろう。
微(かす)かなりとも一隅を照らそう。
手のとどく限り、到る処に燈明(とうみょう)を供えよう。
一人一燈なれば、萬人萬燈である。
日本は忽(たちま)ち明るくなる。
是れ我々の一燈照隅行、即、萬燈遍照(まんとうへんしょう)行である。
互いに真剣にこの世直し行を励もうではないか。
(昭和31年)