来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ[九十七番歌 権中納言定家]:平安の世が崩れさっていく時代に詠まれた藤原定家の歌


来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ

[権中納言定家(1162-1241)『新勅撰集』]

★直訳

来ない人を待ち続け、松帆の浦の夕凪時に焼かれる藻塩のように、私の身は恋焦がれています。

★解説

作者の権中納言定家というのは、藤原定家のこと。

そう、小倉百人一首を編纂した人です。

小倉百人一首という名前は、藤原定家が親交のあった宇都宮頼綱に依頼されて、京都嵯峨野の小倉山の山荘の襖にはるために書いた色紙「小倉色紙」に由来します。

小倉色紙を書いたのは藤原定家74歳の時と言われていますので、小倉百人一首の編纂はその後藤原定家最晩年の仕事だったのですね。

この歌は、『新勅撰和歌集』に入っています。

詞書に「建保(けんぽう)6年内裏(だいり)歌合(うたあわせ)恋歌」とあります。

建保6年(西暦1218年)は、承久の乱(西暦1221)の3年前。

世の中から平和が消えてなくなりつつあった時代に宮中で読まれた歌ということになります。

藤原定家は56歳。

56歳の男が来るあてのない人を待ちわびている歌。言い知れない寂しさがあります。

が、同時に、

小倉百人一首を編纂した天才歌人と謳われたその人が、数ある自分の歌の中からこの歌を選んで入れた、そこには深い想いがあるのではないか、と想像するのはあながち間違ってはいないように思います。

世の中の平和が音を立てて崩れていく世相の中で、穏やかだった時代を恋焦がれる想い。

力を尽くしても破壊への流れが止まらないことへの悲しみ。

そういう心も読みこまれているとも思います。

★感想

今を生きる私たち。

最近、世の中が音を立てて崩れてきていると感じている人も少なくないように思われます。

倫理・道理・理、一本筋が通った社会の背骨のようなものが失われてしまっています。

この藤原定家の歌から、今を生きる私たちが取り組まなければならないことが見えてくるような気もします。

参考)

ねずさんの 日本の心で読み解く「百人一首」

百人一首を読み解こう

小倉百人一首を読み解こう
せっかくの百人一首大会。 それぞれの歌が詠まれた時代背景や世相、隠された真意等について考えてみましょう。 ここでは、『ね...

五色百人一首 色別一覧

五色百人一首 青札,黄札,桃札,緑札,橙札 色別一覧(小倉百人一首)
五色百人一首を 青札,黄札,桃札,緑札,橙札 色別一覧です。(小倉百人一首) 【五色百人一首大会公式認定札】TOSSオリジナル教材(東...

小学生百人一首大会

小学生百人一首かるた大会 in郡山
第7回小学生百人一首大会は、令和2年9月以降開催予定です。 【お知らせ】 令和2年8月23日に予定しておりました第7回小学生百人一首大会...

スポンサーリンク
simplicity11
simplicity11

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
simplicity11