昭憲皇太后がベンジャミン・フランクリンの12の徳目について詠まれた御歌(みうた)


ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)という名前をご存じでしょうか。

そう、アメリカ建国の父と言われ、アメリカ独立宣言を起草した5人の政治家の一人です。

ベンジャミン・フランクリンは、常に自分の品性を高める努力を怠らず、12の徳目を掲げて実践していました。

このベンジャミン・フランクリンの12の徳目を、和歌に詠んだ方がいらっしゃいます。

そう、

明治天皇の御后、昭憲皇太后です。

昭憲皇太后がベンジャミン・フランクリンの12の徳目について詠まれた御歌

ことふみ郡山の小学生百人一首大会では、最初に詠む歌に昭憲皇太后の「磨かずば玉も鏡も何かさせん 学びの道もかくこそありけれ」という御歌(みうた)を使っていますので、子供達にはお馴染みの皇太后さまですね。

昭憲皇太后は、学問熱心なだけではなくとても徳の高いお方で、女子教育を奨励されたり病に苦しむ人の救済にあたったりなさいました。

生涯に三万首を超える和歌をお詠みになり、その一部が『昭憲皇太后御集』として伝わっています。

昭憲皇太后が、ベンジャミン・フランクリンの12徳についてお読みになられた御歌をご紹介します。

節制(せっせい)

花の春もみぢの秋のさかづきも ほどほどにこそくままほしけれ

(春の花見や秋の紅葉狩りで飲むお酒も、ほどほどに飲むのが良い。何事にも節度をわきまえることがたいせつ。)

清潔

しろたへの衣のちりは払へども うきは心のくもりなりけり

(着ている服の塵を払って外見を繕うことはできても、内面の心の曇りは簡単に払うことはできません。心こそすがすがしく保っていたいもの)

勤労

みがかずば玉も光はいでざらむ 人のこころもかくこそあるらし

(宝石は磨かなければ光を放ちません。人の心も同じ。研鑽を積まなければ、優れた徳を持つことはできません。)

沈黙

すぎたるはおよばざりけりかりそめの 言葉もあだにちらさざらなむ

(過ぎたるはおよばざるがごとし。ふと軽い気持ちで漏らす言葉が人を傷つけることもあります。不用意な言葉はむやみに使わないようにしたいものです)

確志(かくし)

ひとごころかからましかば白玉(しらたま)の またまは火にももやかれざりけり

(人の心も、こんな風に堅固なものであったらよいのに。白い珠玉はたとえ火中に投げ入れられても傷一つつかないで、その信条を貫きます)

誠実

とりどりにつくるかざしの花もあれど 匂ふこころのうるはしきかな

(神事に仕える時、神様に喜んでいただくために頭に美しい花飾りをつけたりしますが、匂い出る心の清らかさこそが何よりも美しく、神様の心に叶うものです。)

温和

みだるべきをりをばおきて花桜 まづゑむほどをならひてしがな

(桜の花の散りぎわよりも、つぼみが咲きほころびようとするときの、人の心をほぐすような和(やわら)かなやさしさにこそ、習いたいものです。

謙遜

高山のかげをうつしてゆく水野 ひききにつくを心ともがな

(高い山の姿を映していても、水は自ずから低い方へ向かいます。

そのように、志は高く持っても、行いは謙虚にありたいものです。)

順序

おくふかき道もきはめむものごとの 本末(もとすえ)だにたがへざりせば

(どんなに奥深く困難な道でも、物事の本末順序をきちんとして誤らなければ、いつか極めることができるでしょう。)

節倹(せっけん)

呉竹(くれたけ)のほどよきふしをたがへずば 末葉(すえば)の露(つゆ)もみだれざらまし

(贅沢をせず、分に応じた生活を心がけていれば、子孫の長く繁栄するでしょう)

寧静(ねいせい)

いかさまに身はくだくともむらぎもの 心はゆたにあるべかりけり

(身を粉にして働いている時も、心はいつもゆったりと朗らかでありたいものです)

公義(こうぎ)

国民(くにたみ)をすくはむ道も近きより おし及ぼさむ遠きさかひに

(国民を救う道も、まずは近いところから始め、だんだんとそれを押し広げていって、遠い国の愛に住む人々にも及ぼしていきたいものです)

参考)

昭憲皇太后―ひろく愛の御手をさしのべられて (まほろばシリーズ)

スポンサーリンク
simplicity11